日本企業で使われている Linuxサーバーというと、RedHat Enterprise Linux(以降RHEL)が一番使われているようです。
ただ RHELは開発者用に評価版を出してはいますが、使用条件が厳しくちょっと面倒なので、大体の人は互換 OSである CentOSを使っていたことと思います。
CentOSは RHEL製品版のクローンとして出回っていたんですが、2021年 Ver.8を最後に以降はリリースされなくなってしまいました。
代わりに Streamと冠のついたものがリリースされるようになったのですが、これは RHEL開発版のクローンでして、全然違うのではないものの、RHELの代替としてはいささか問題があります。
こうして RHEL・CentOS界隈に激震が走ったわけですが、その時から数ある RHEL互換OSの中からどれが一番良いかというのが 2024年の今でも引き続き話題になっています。
2024年2月現在、以下 3つが有力候補になっているようです。
AlmaLinux
Rocky Linux
Oracle Linux
2023年5月に RHEL互換の Miracle Linuxを開発しているサイバートラストが次期メジャーバージョンの 10から AlmaLinuxとの共同開発(統合にしか見えないけど)を発表しました。
国内では勢力図が変わってくるかも知れません。
ここでは Rocky Linuxをインストールしてみます。
Rocky Linuxは CentOSを作っていた人が立ち上げたプロジェクトで、OS自体は無料でサポートが有料という商用OSです。
RHELとの完全バイナリ互換を目指していると謳っています。
1.インストールメディアダウンロード
インストール用のメディアデータをダウンロードしましょう。
こちらのページでダウンロードできます。
今回は RHEL9の代替として Ver.9を選択します。
2024年2月17日時点の最新バージョンは 9.3です。
Download Rocky
私は VMware Workstation Playerの仮想マシンにインストールするつもりなので [x84_64] が対象になり、全部入りが欲しかったので [DVD] を選びました。
9.8GBもあってダウンロードに 2時間以上かかりました。
回線速度ではなくダウンロードサーバー側の問題と思います。
このサイズは DVDに焼けるんですかね。
まぁもう円盤は使いませんけど。
ダウンロードが完了したところで [Rocky-9.3-x86_64-dvd.iso] というファイルができました。
2.仮想マシン作成
VMware Workstation Playerを立ち上げます。
[新規仮想マシンの作成] をクリックします。
[後で OS をインストール] を選択し、次へを押します。
[ゲスト OS] に [Linux] を選択、
[バージョン] に [Rocky Linux 64ビット] を選択し、次へを押します。
[仮想マシン名] は本当のマシン名ではなく、VMware Workstation Playerの画面のメニューに表示される名前です。
[場所] には仮想マシンを構成するファイル群一式を収めるフォルダを指定します。
次へを押します。
[ディスク最大サイズ] は Rocky Linuxの場合、20GBが VMware Workstation Playerの推奨値になっていますので、そのままにしました。
もしデータベースサーバーにしたいなどディスク領域を多く必要とするなら大き目にしておきましょう。
[仮想ディスクを単一ファイルとして格納] を選択します。
[仮想ディスクを複数のファイルに分割] にすると、2GBのファイル複数個に分割されますが、今の時代ではもうこちらは必要ないでしょう。
次へを押します。
ハードウェアをカスタマイズを押します。
●メモリ
8GBにしました。
●プロセッサ
4個にしました。
[仮想化エンジン] はこれから Rocky Linux上で何かしらの仮想化ソフトを使う場合はチェックを入れます。
ただ [CPU パフォーマンス カウンタを仮想化] は、Intel CPUで Hyper Threading(HT)が使える CPU(Core i3 や i7)ではエラーになって使えませんでした。
●新規 CD/DVD(IDE)
[ISOイメージファイルを使用する] を選択し、1でダウンロードしたインストールメディアファイル [Rocky-9.3-x86_64-dvd.iso] を指定します。
●ネットワーク アダプタ
[ブリッジ] を選択します。
●USB コントローラ
●サウンド カード
いらないので削除しました。
●ディスプレイ
3Dグラフィック系のソフトを使うわけでもないので [3D グラフィックスのアクセラレーション] は外しました。
閉じるを押します。
完了を押します。
仮想マシンができました。
3.Rocky Linuxインストール
仮想マシンを起動します。
この画面になったら、 I を押すと [Install Rocky Linux 9.3] が選択されるので、Enterを押します。
Rocky Linuxの日本語のページからダウンロードしたからでしょうか、既に日本語が選ばれているので、そのまま続行を押します。
上の方から変更する箇所をなめていきます。
[インストール先] をクリックします。
特にディスクの領域割当を変更することもないので、そのまま完了を押します。
[ソフトウェアの選択] をクリックします。
サーバーにするつもりなので [最小限のインストール] を選択し、完了を押します。
固定IPアドレスを使いたいのと、マシン名をつけたいので [ネットワークとホスト名] をクリックします。
[ホスト名] を設定して適用を押し、右にある設定を押します。
[IPv4設定] タブを選択します。
[メソッド] で [手動] を選択すると以下の画面になります。
[アドレス] の右にある追加を押すと IPアドレスの設定ができます。
赤枠の部分を設定してください。
私が契約しているインターネットサービスプロバイダは IPv6をサポートしていないので、[IPv6]タブにて [メソッド] を [無効] にしておきました。
保存を押します。
変更した設定が反映されているはずです。
完了を押します。
[root パスワード] をクリックします。
[root]ユーザーのパスワードを設定して下さい。
緩いパスワードだと怒られますが、完了を 2回押せば OKです。
[root]ユーザー以外の管理者ユーザー(sudoできる)を作りましょう。
[ユーザーの作成] をクリックします。
[フルネーム] は GUIログインの時くらいしかお目にかからないもので重要ではありませんので、混乱しない程度に好きなものにして構いません。
[ユーザー名] が実際の OSユーザー名です。
[このユーザーを管理者にする] にチェックを入れてパスワードを設定して下さい。
緩いパスワードだと怒られますが、完了を 2回押せば OKです。
インストールの開始を押します。
待ちます。
システムの再起動が青くなったら押します。
再起動後にログインプロンプトになった状態です。
インストールはこれで完了です。
4.最新状態にする
3の最後に出てきた画面(コンソール)でも作業できますが、使いづらいので他のマシンから SSHでログインして作業します。
ここでは Lubuntu 22.04.3 のクライアントで作業しています。
[Rocky9-1]サーバーは、[/etc/hosts]ファイルに登録済みの前提になっています。
SSH用の公開鍵データを [Rocky9-1]サーバーにコピーします。
subro@Lubuntu2204:~$ ssh-copy-id -i ~/.ssh/id_ed25519.pub subro@Rocky9-1
/usr/bin/ssh-copy-id: INFO: Source of key(s) to be installed: "/home/subro/.ssh/id_ed25519.pub"
The authenticity of host 'rocky9-1 (192.168.1.161)' can't be established.
ED25519 key fingerprint is SHA256:xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx
This key is not known by any other names
Are you sure you want to continue connecting (yes/no/[fingerprint])? yes
/usr/bin/ssh-copy-id: INFO: attempting to log in with the new key(s), to filter out any that are already installed
/usr/bin/ssh-copy-id: INFO: 1 key(s) remain to be installed -- if you are prompted now it is to install the new keys
subro@rocky9-1's password: [Rocky9-1]サーバーの[subro]ユーザーのパスワード
Number of key(s) added: 1
Now try logging into the machine, with: "ssh 'subro@Rocky9-1'"
and check to make sure that only the key(s) you wanted were added.
コピーできました。
SSHでログインします。
subro@Lubuntu2204:~$ ssh subro@Rocky9-1
[subro@Rocky9-1 ~]$
ログインできました。
デフォルトのコマンドプロンプトが Ubuntuのそれとは違いますね。
パッケージを全てアップデートします。
[subro@Rocky9-1 ~]$ sudo dnf update
あなたはシステム管理者から通常の講習を受けたはずです。
これは通常、以下の3点に要約されます:
#1) 他人のプライバシーを尊重すること。
#2) タイプする前に考えること。
#3) 大いなる力には大いなる責任が伴うこと。
[sudo] subro のパスワード:[Rocky9-1]サーバーの[subro]ユーザーのパスワード
〜〜〜 途中長いので省略 〜〜〜
完了しました!
[subro@Rocky9-1 ~]$
アップデートできました。
5.シャットダウン
止め方を知らないとお勉強を終われませんね。
シャットダウンするには sudoを使っても良いのですが、せっかく RHEL系なので、[root]ユーザーにスイッチユーザーしてから poweroffコマンドを実行してみます。
[subro@Rocky9-1 ~]$ su -
パスワード:[Rocky9-1]サーバーの[root]ユーザーのパスワード
[root@Rocky9-1 ~]# poweroff
これで SSHのセッションが切られて、Lubuntuに戻ってきました。
VMware Workstation Playerの [Rocky9-1]サーバーの画面ではシャットダウンしているメッセージがバラバラ出てきて、VMware Workstation Playerが終了するはずです。
(見てないとすぐに終わって消えてしまいます)
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インストールは以上になります。
ここから先のサーバープログラムのインストールなどは、Ubuntuなら apt や snap なのが、Rocky Linuxでは dnf(昔の yum)になってるとか、ファイアーウォールのプログラムがデフォルトで実行されていて、サーバープログラムをインストールした後に対象の TCP/UDPポートを開放してやらないと通信できないとかあります。
でも Ubuntuをやっている人なら応用が効くので、すぐに慣れると思います。
なおサーバープログラムのダウンロード時は、rpmパッケージというのを選ぶようにして下さい。
今回は Ver.9ですが、RHEL8や CentOS8のインストーラと大きく変わったところはなく、これまでの経験で問題なくインストールできました。
Linuxとしては、Debian系と RedHat系を経験しておけば大体の現場は大丈夫だと思いますので、これを機に Rocky Linuxで RHEL系に触ってみてはいかがでしょうか。