有償ソフトウェアなのでこのサイトの趣旨とは離れてしまうのですが、私が仕事で使っていたジョブ管理ツールでご紹介しておきたいものがあるので書きます。
それがこちら
JP1/Automatic Job Management System 3
日立製作所の製品です。
企業システムでは「バッチ処理」というのが多く、またどの企業さんも大体日次でお金を回しているので、いわゆる「夜間バッチ」という処理が多くあります。
JP1/Automatic Job Management System 3(長いので以降は AJSとします)は、そのバッチジョブのフローを GUIで絵的に構成できるツールなのです。
OSSばかり扱っているこのサイトで取り上げるのは、AJSと同様の OSSツールがないからなのです。
私が見つけられていないだけかも知れませんが、外国の企業は「夜間バッチやってないのか?」と思うくらいに競合製品が少ないのですよ。
私はかれこれ 20年も AJSで運用してきましたが、AJSがこれだけ長い間販売が続いているというのは、他に無いからという証左だろうと思います。
AJSでは実際に JP1/AJS Viewer という GUIツールでこんなフロー図を作ります。
この図で言いたいのは以下の特徴です。
- 並列実行(バラける)をしてから1つに戻るフローを何の苦もなく作れる
- 複数のマシン(OSを問わない)にまたがったフローを何の苦もなく作れる
これらの機能は非常に強力です。
これをプロダクションレベルで実装するのは大変ですよね。
AJSは幾つかの OS用にリリースされていますので、透過的にジョブフローを作成することができます。
この特性が特に強く出るのは、複数のシステムに跨ったジョブフローを作るときでしょう。
大きな企業だと企業内システムといっても複数あり、それらが結構連携するため夜間ジョブのタイミングもお互いに影響しますので、それらの間での前後関係を、フロー図を作るだけで実現できるのは凄く便利です。
他に AJSにあって他に無い機能はこれです。
- GUIで簡単に作れる営業日カレンダー
UNIX/Linuxの cronにもなく、Windowsのタスクスケジューラにもこの機能がありません。
ここでもまた「海外企業の夜間バッチはどうしてんだろ?」と思わざるを得ないくらいです。
どなたかツールをご存知でしたら教えて下さい。
企業のお休みが必ず土日だけならいらない機能ですが、日本では祝日が多いですし、オリンピックの時に祝日が変わったり、企業によってお盆や年末年始の休日が違ったりと、営業日/非営業日の管理が面倒臭いのです。
AJSのカレンダー作成画面は紙の壁掛けカレンダーのマンマなので、素人でも簡単に作れます。
このカレンダーのお陰で、営業日にだけ実行するスケジュールを組むことができます。
企業ユースの製品ゆえライセンス料はそれなりですが、もともと上記の機能だけでもユーザーはペイしていると思っていました。
しかし Ver.11から(2022年9月16日時点での最新は Ver.12)、(私が思うに)大変な機能拡充がありました。
それまで JP1/AJS Viewerでしかジョブ操作や参照ができなかったところ、WebConsoleという機能を使って Webブラウザでできるようになりました(但しジョブの新規作成はできない)。
なかなかスマートなデザインの画面で、Webブラウザでジョブフローが実行されていく様子をほぼリアルタイムで見られるようになったのですが、これはダミーです。
騙されてはいけません。
本当の AJSのパラダイムシフトは WebConsoleが WebAPIを提供したことだったのです。
これが無かった頃は、ジョブフローの実行開始は AJSがインストールされたマシンからのみ可能だったのですが、WebConsoleはそれを外部から可能にしました。
それも WebAPIです。
私はここに日立製作所の本気を見た気がしました。
若手のエンジニアさんが頑張ったのかな〜。
これにより、例えば「パブリッククラウドの何かしらのイベントを契機に複雑なバッチジョブフローを実行する」を可能にしたのです。
それも WebAPIですから、JavaScriptや Pythonからの実行も容易です。
複雑なバッチジョブフローの実行は、まだパブリッククラウドでは実現できていないか、あっても非常に難解なシロモノのはずです。
AJSがパブリッククラウドの SaaSで提供されれば良いのに…と何度思ったことか。
しかしながら日立製作所は余りこの点をアピールしていない…。
もっと大々的にドヤって良い点だと思いますが。
SIerの人ももしかするとココを見に来るかも知れないと思うと AJSの環境構築も取り上げたいのですが、評価版はあるもののダウンロードは依頼者の情報をサイトで入力しなければなりません。
多分個人では手に入れられないかもしれない。
日立製作所さん、もしココをみてたら評価版下さい!
あと AJSエージェントをコンテナ対応にして下さい!
それから Windows版は Powershellスクリプト直接実行に対応して欲しい。
なんてね。
ということで、JP1/Automatic Job Management System 3 のご紹介でした。
もしお客さんのシステムのバッチジョブ管理が辛くなってきたら、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
(私は日立製作所の関係者ではありません、念の為。)
国内の競合製品として、千手・A-Autoがありますが、「他にもこんなのがあるよ」をご存知の方いらっしゃいましたら、メールにて教えて頂けると幸いです。
どなたか、外国の企業の夜間バッチがどうなってるのかご教示頂けると、大変嬉しく。
ベンダー資格もあります。
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