お金をかけずにサーバーの勉強をしよう

円安と日本での外資パブリッククラウド利用

2024年5月2日

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こんにちは。

会社に勤めていた頃に、私のお客さんが自前データセンターをやめてパブリッククラウド利用に舵を切ったのが数年前。

柔軟なシステム構成をすることも目的にはあったようですが、一番大きかったのはデータセンター維持費が高かったからなのは間違いないでしょう。

端的に言えばコスト削減ということです。


それはさておき、今日は 2024年5月2日で、1ドル 156円です。

早朝にパウエル米FRB議長の会見があり、アメリカ株式指標が大きく↑↓となったタイミングで、日本財務当局の為替介入があったようで、153円まで円高に振れたもののその後あっという間に円安方向に戻っていってしまうという状況です。

先日は 160円にまでなっていましたし、日米の政策金利差によるこの円安傾向はまだ続くようです。

それにしてもこの 2年半でなんと円が安くなったことか。
2021年10月頭で 1ドル 110円くらいでしたので、50円も安くなっていて、これは 36年前以来なんだそうです。

ドル円のグラフだとこんな感じです。
ここ30年のドル円の表

長い間 100円 〜 105円くらいのレンジで上げ下げしてきて、定年も近い私が社会に出る前のレートになってるということは、現役世代の誰もが経験したことのない円安の社会になっているということ。

それも 2年半でです。

そして日銀の金融緩和政策は続行ということになり、2024年末に向けて 170円・180円なんて言われています。

日本の IT界は殆どのものを海外から、特ににドルの国であるアメリカから買っているのは皆さんもご存知のところですが、影響はないのでしょうか。

影響があるのが当然と考えておくのが良いでしょうね。

ハードウェアもソフトウェアも、サブスクタイプのものも、皆値上げになるのでしょう。

外資(アメリカ)のパブリッククラウドにおいては、為替レートがまんま課金に跳ねていた記憶があるので、課金が酷いことになってるのではないかと。

顧客からは

えれぇ高くなったな!
安くなるって話だったからクラウド行ったんだぞ!
話が違うじゃね〜か!
騙したな!


なんて詰め寄られて苦しい言い訳をしている人も多かろうと思います。
(為替リスクの件も1行だけ提案書に書いていたのにねぇ)

この円安というかドル高は、米のインフレ抑制のための政策金利上昇が要因と言われていますが、果たしていつそれが終わるのか、そもそも為替レートがまた 1ドル 110円くらいまで戻るのか、それは今の所誰も分かりません。

個人的には良くても 1ドル 140円台あたりで 10年位は固定されてしまうんじゃないかと予想していますが…。

現在の為替相場でのパブリッククラウドの費用が自前データセンターよりも高くなるのかは分かりませんが、為替のことを無視してもパブリッククラウドって言うほど安くないことがバレ始めている状況で、この課金アップはかなり問題なのではないでしょうか。

この 5年くらいの間にクラウド移行を進めた SIerの担当者なんかは頭を抱えていることでしょう。


誰も予想できなかったこの状況、済んでしまったことを責めても何もなりませんね。

ただ顧客には外資クラウドは課金的に読めないリスクがあるという認識が植え付けられてしまうと思います。

今 IT業界ではバズりワードの「DX」をして顧客への営業攻勢をかけているところですが、これはクラウド化と密にくっついているだけに、冷水を浴びせられた格好になってしまったと思います。


ただでさえ円安で業績の悪くなる企業の方が多い中、IT投資は不景気時に一番最初に削られる運命である事はリーマンショックを経験した諸兄なら身に沁みてわかると思います。

アレの再現が起こるとすると、パブリッククラウド利用がなくなりはしないものの、クラウド利用の本来の趣旨とはかなり違った歪な形になるのではないかと予想しています。

パブリッククラウド上のケチケチシステム

ぽいものが暫く主流になるかも知れません。

具体的には、IaaSの大きな仮想マシン1つに全部ブッ込みの超モノシリックシステムのような。

RDBも DBaaSのは高いので、OSS由来の MySQLか PostgreSQLを 1つ作り、そこに複数のシステムが相乗り、メモリの有効利用を図る、なんて目頭が熱くなるような古い設計が復活するとか。

大手外資クラウドの利点は個々のサービスを繋ぎ合わせることでマイクロサービスタイプのシステムを構築しやすいことですが、その恩恵を受けられるのはそれなりのサイズのシステムを持つ大きな会社だけで、少数と言えば少数です。

となると今後は、世界の IT技術の進歩がどうあれ、日本の IT技術の趨勢はガラパゴスにあり!となるような気も。

VMwareや OpenSHIFTあたりが復活してきて、サーバーエンジニアは再び冬のデータセンターで震えながらキッティングしたりラッキングしたりになるのかもです。

パブリッククラウドねぇ…あれは先進国が使うものだね(トオイメ)

なんて言う時代になったりして。


そんなこんなで、今若い人達が一所懸命にお勉強しているクラウド前提の技術は使われなくなっちゃう予想をしています。

何をおいてもコスト削減、先進的な設計とかお前の自己満だろ!

と営業に怒られるのですなぁ。
エンジニアとしては悲しいですね。

サーバーエンジニアがお勉強のためのリソース(時間・お金)を、次にどの方向に持っていくか、選択が難しくなってまいりました。

せめてウクライナ侵攻やガザ侵攻が早く終わってくれればと願って止みません。


この本が出たときより、もっと円安。