ぽんたさんからのお便り
しかし私のような中年が一から勉強し一人前になったとして、そのころにはもう定年退職となってしまうように感じており、今後本当にこのままインフラやネットワークの勉強に邁進するべきかどうか悩んでおります。
ぽんたさんは、現在 40代半ば、元々製品の研究開発に携わっておられて、ひょんなことから ITインフラの仕事を振られて現在 IT4年生とのことですね。
それにしても、製品の研究開発とはまた素晴らしい技能をお持ちで。
特に研究畑の人には、「他の事に注力しろ」と言われるのはさぞ辛かろうと推察するところであります。
きっと自身が本来もつ専門性と指示される仕事内容との間で悩んでおられることと存じます。
私のように新卒からずっと ITにいる人間とは違い、IT以外の業種であっても、昨今のように省力化が叫ばれる事業会社においては、IT部門への異動そのものや ITエンジニアの役割に就くことを指示される方が少なくないようですね。
DXは言うに及ばず、日本においては「省力化」が意味するのは IT化ですから、2024年春の現在では ITエンジニアの人材不足が酷くなっていて、SIerや派遣企業にいくら言っても欲しいエンジニアが得られない企業が多いはずです。
そのために、ITではない人でもどうにかして ITの仕事をやってもらわないと世間から取り残されてしまうというのが経営者の方々の悩みなんでしょう。
ぽんたさんのお悩みでのポイントは現在の年齢ですよね。
定年もそんなに遠くなくなっているし、何かで一人前になるには数年はかかるとういことも経験上知っている、だからこそ「本当の道ではない ITに時間を使ってしまって良いのか?」と自問自答しておられるのでしょう。
ぽんたさんの状況の仔細までは分からないのでいい加減な事は申し上げられませんが、とりあえず私からのアドバイスとしては、
- 「ITは嫌い」であれば転職も
- 「ITインフラやってみてまんざらでもない」なら続行
とまぁ、自分の心の声で判断しても良いのではないかと。
ITに時間を割かれることで、もっと極めようとしている自身の専門性が阻害される、という程のことなら ITは人生の上での邪魔ですね。
ITは人生をかける程のものでもないと私は思っています。
(私にはそもそも ITしかないんですけど)
もしちょっとITインフラやってみようか、と思えるなら以下のようなメリットはあると思います。
- ITはお勉強した分だけ身につく明確さがある
- 今人手不足で仕事は結構ある
- IT4年生は既に知識/経験のステージが 1つ上がっている(世間並みを超えている)
- 定年後は会社の嘱託で新人並みの収入になるより ITフリーランスの方が良さげ
- ITインフラは減りもしなければ無くなりしない
- プログラマ界よりまろやか
私は中高年のリスキリングに ITインフラって結構良いと思っているくらいなんです。
ただ、表から見えない「縁の下の力持ち」的職業だけに、プログラマのようにキラキラしてなくて人気がないだけなんですね。
そして、ITってのは目的ではなく、他の事を成すためのツールなので、他の専門性とぶつかりません。
それどころか、何かのスキルとITとの掛け合わせが市場における強いアピールポイントになると言われて久しいです。
私なんか ITしかなく、この「掛け合わせ」が無いので苦労しますが、ぽんたさんは製品開発という強みを持っておられるので、「ITもできる」となるとそのスキルの希少性は高くなると予想します。
我ら氷河期世代は仕事に対してとか、自信という面でややネガティブな傾向になってしまっていますが、40代半ばでしたらまだまだチャレンジができる年齢と思います。
氷河期世代の後輩の行く末が明るいことを願って止みません。
どう転ぶにしても、エールを贈りたいと思います。
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こういう良い本も一杯出ていますけどね。
ITインフラってお勉強方法が確立してないのと、実践した経験が結構重要なファクターなんで「これをやれば 3日で〜」的ななショートカットが存在しないのです。
これを逆の面から見れば、やってる人を追い越すのは容易では無いってことになります。
結構フェアなフィールドですので、研究者のマインドと親和性があるように私は思います。