お金をかけずにサーバーの勉強をしよう

ソフトウェアiSCSIデバイス(FreeNAS)(前編)

2022年10月14日

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こんにちは。

私が愛読している Publickeyさんの、2022年10月14日の記事にこういうのがあります。
マイクロソフト、「Azure Elastic SAN」プレビューリリース。iSCSIでアクセス可能なSAN(Storage Area Network)をマネージドサービスで提供

Azureで、SAN(Storage Area Network)を課金で使えるサービスのプレビューが開始されたってものです。

その記事の元ネタはこちら。
Azure Elastic SAN in preview

==== ここから愚痴開始のため読み飛ばして頂いて結構です ====

一通り読みましたが、コレは…マイクロソフトもかなり苦しい言い訳をしているように見えます。
当ドキュンメントを MS帝国に上奏した Yuemin Lu氏の苦悩が伺われます。

文書中で「オンプレから Azureのようなクラウドに移行したらストレージのパフォーマンスが出なくて困ったよな?それを解決するソリューションがこれなんだぜ!」と、謝ってるんだか自慢してるんだか分からない表現ですけど、Azureのストレージが遅いってことは認めているようです。

あくまで個人的な感想ですが Premium SSDは中々に遅かった。

PCのハードディスクとどっこいくらいのパフォーマンスだったのは辛かったです。

誤解が無いように付け足すと、IaaS仮想マシンの CPU数に連れてパフォーマンスが上がるので、8vCPUから上の仮想マシンを契約すれば問題が少なかったようなんですが、OracleDBをそこで動かすとなると途端に問題が大きくなるのでした。

Azureの仮想マシンでは、OracleDB Standard Edition 2の場合、4vCPU=1CPUライセンス(210万)必要、そして 8vCPUを超える仮想マシンでは Enterprise Edition(570万)適用かつ1vCPU=1ライセンスとなります。
更に言うなら、保守もライセンス数の掛け算になります。

オンプレのVMware仮想基盤では安くよろしく動いていたのに、Azureに持っていった途端にストレージスピート確保のためだけに過剰な CPU数が必要で、それに連れてソフトウェアラインセンスがン百万単位で必要になるという事態に陥ってしまいました。

ウギャァァァァァァァァと叫びたいくらい。


世間知らずの部長なら「こんな見積どうやって客に出すんじゃ!マイクロソフトと Oracleの部長を呼んで説明させろ!」と言うところですが、本当に来て頂いたらヘコヘコするのがこちらの立場。

部長の気持ちも分かるんですよ。
だって Azureに行った方がずっと高くなっちゃうんだもの。

この辺はまだ Azureと Oracleが仲良くしてなかった頃の話で、今は OCI(Oracleのクラウドサービスで Enterprise Editionが得意)と Azureを太い回線で繋ぐことで、Azureに OracleDBを乗せない戦略を取れるようになりまして、(Azureと Oracleが)win-winの関係になってからは幾分か緩和されたようですが。

しかし SQLServerを擁するマイクロソフトにとって Oracleは不倶戴天の敵、いつこの関係が崩れるかは分かりません。

いずれにしても世界中のユーザー置き去りのパワー駆け引きで、世界中のサーバーエンジニアが頭を抱えることになってしまったのは間違いないと思います。


実際コレのために Azureが Oracleユーザーの取り込みに失敗した(OCIに流れた)なんて事情や、インターネット上で「Azureおせ〜な」とか揶揄されたこともあったんだと思うんです。

こんなに時間が経ってからやっとこ今になって Azureで SANを使わせようってことになったのは、そんな実態があったのではないかと思う次第です。

==== 愚痴ここまで ====


Azure Elastic SANでは、仮想マシンからは iSCSIデバイスとして認識できるようですね。

多分 2.5Gbpsの回線で繋がせてくれるんでしょうから、PremiumSSDの上限規制に比べれば大分マシなんじゃないかと思います。

PremiumSSDのように、VMレベルのスロットリング対象にならないことを祈るのみです。

もし Azure Elastic SANが問題を解消するようなサービスであるなら、Azureの仮想マシン利用でのブレイクスルーになると思いますね。


業界初みたいな事が書いてあるので、オンプレ離れが進んだこの時代に iSCSI復活の狼煙が上がるのかも知れません。

というわけで、サーバーで iSCSIデバイスを使う方法を味わうため、まずは自分の家に iSCSIデバイスを用意してみようと思います。

やっと本題に辿り着いたところで、この回はおしまいです。

次回、TrueNASの昔バージョンの FreeNASというソフトウェアを使って、仮想環境に iSCSIデバイスを作る実験をします。


ソフトウェアiSCSIデバイス(FreeNAS)(中編)」に続く。