仮想環境の基盤になる PROXMOXを実際にインストールします。
「PROXMOX環境構築 1」で PROXMOXのインストールをする前に校長先生ばりの長い話を書いてしまって、堪え性のない皆様はご立腹のことと思います。
しかしそんな時こそ「げん木」「やる木」そして「こん木」なのであります。
皆様は「こん木」が足りない上に怒りっぽいので、カルシウムを多く取り、着実にお勉強を進めていって頂ければ幸いです。
と慇懃無礼にアオリをくれたところで、続きをやって行きましょう。
「PROXMOX環境構築 1」に書いた通り、あくまで PROXMOXがどういうものか味わってみるのを目的として、VMware Workstation Playerの仮想マシンにインストールすることにしますが、本来
は相当にパワフルな PCサーバーに入れて運用するものです。
インストールメディアである [proxmox-ve-8.1-2.iso]ファイルが既にダウンロードされているところからスタートします。
公式のドキュメントはこちら。
Proxmox VE Administration Guide
これから VMware Workstation Playerの仮想マシンを作りますけど、ハイバーバイザである PROXMOX自体はそれ程多くを求めないものの、上に更に仮想マシンを載せていきますので、メモリとディスクは普段サーバーOSをインストールするものよりもずっと多く必要になります。
ドキュメントの「2.1.2. Recommended System Requirements」のメモリ要件は
Memory: Minimum 2 GB for the OS and Proxmox VE services, plus designated memory for guests. For Ceph and ZFS, additional memory is required; approximately 1GB of memory for every TB of used storage.
とあります。
仮想マシンが使うメモリは当然ながら、PROXMOXが扱うディスクのファイルシステムに Cephや ZFSを使う場合は、加えて 1TBあたりにメモリを 1GB欲しいとあります。
最新の PC用マザーボードでの最大メモリ搭載量が 192GBぽっちですから、本気で運用するならやはりサーバー機が前提になりますね。
とは言え、検証でそこまでする必要もありませんし、PROXMOX自体はメモリが 2GBあればどうにかなりそうです。
大体のところが分かったところで、仮想マシンを作っていきます。
VMware Workstation Playerを立ち上げます。
[新規仮想マシンの作成] をクリックします。
[後で OSをインストール] を選択し、次へを押します。
[ゲスト OS] に [Linux] を、
PROXMOXは Debianベースなので、[バージョン] に [Debian 12.x 64 ビット] を選択し、次へを押します。
[仮想マシン名] は実際のマシン名ではなく、VMware Workstation Playerのメニューに表示する名前です。
[場所] はこの仮想マシンのファイル群が作られるフォルダで、他の仮想マシンとは別な場所にします。
SSDにしておくとパフォーマンスが上がります。
次へを押します。
[ディスク最大サイズ] は、PROXMOXの上に作る仮想マシン分を考慮して 300GBにしました。
[仮想ディスクを単一ファイルとして格納] を選択し、次へを押します。
この手の環境を作る場合、サーバーは必ず多重化するため、仮想マシンを格納するストレージは SAN(Storage Area Network)を介した外部の共有ストレージにするのが常套手段です。
ハードウェアをカスタマイズを押します。
実験している PCが 32GBしかメモリがないので、仕方なく16GBにしていますが、本来は PROXMOX上の全ての仮想マシンが十分に動くだけの潤沢なメモリ(512GBとか普通にある)を割り当てないといけません。
私の PCに搭載されている CPUが Core i5 4570なので、そもそも 4コアしかありませんので、全部割り当てました。
大事なのは [仮想化エンジン] のチェックの方です。
PROXMOXのように仮想化技術を使用する仮想OSの場合は、ここにチェックをしておきます。
仮想マシンの DVD-RAMドライブに相当する箇所です。
[接続] に [ISOイメージファイルを使用する] を選択し、ダウンロードしたPROXMOXのインストールメディアファイル [proxmox-ve-8.1-2.iso] を指定します。
[ネットワーク接続] に [ブリッジ] を選択します。
これで家庭内LANの他のノードからも通信できるようになります。
[USBコントローラー]・[サウンドカード]・[プリンタ] は必要ないので、削除しました。
([USBコントローラー] はあっても良かったかも)
ディスプレイの設定は特に何も変えずに、閉じるを押します。
完了を押します。
これで仮想マシンができました。
では PROXMOXをインストールしていきます。
[仮想マシンの再生] をクリックします。
[Install Proxmox VE (Graphical)] が選択されている状態(デフォルト)で、Enterキーを押します。
ライセンス条項を読んで、同意できるならI agreeを押します。
ここでインストール先ディスクを指定できますが、元々 1つしかディスクが無い仮想マシンなのでそのままNextを押します。
日本用の設定にします。
どこから読み込んだのか分かりませんが、最初からこの設定になっていました。
Nextを押します。
[root]ユーザーのパスワードと連絡先メールアドレスの設定です。
2箇所にパスワードを入れ、メアドを設定したらNextを押します。
ネットワークの設定です。
よくありがちな IPアドレス設定なので迷うことはないかと思います。
DHCPの選択が無いので、固定IPアドレスが前提になっているようです。
[Hostname] なんですが、家庭内LANだからとドメインを考慮せずマシン名だけ入れたら蹴られてしまいました。
DNSサーバーの IPは、ウチの光ルーターのものです。
一通り入れたら、Nextを押します。
Installを押すとインストールが始まります。
インストール終了後に自動で再起動するようチェックが入っています。
待ちます。
コンテナだと、仮想化しない場合と比べて 1〜3%しか遅くならないって書いてありますね。
これがリブート後の画面です。
この画面でやることはもうありません。
ここからは画面に出ている URL [https://192.168.1.108:8006] に WEBブラウザでアクセスして、GUIでの操作をしていきます。
インストールは以上になります。
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vSphere最新版のインストールがどんな塩梅か知らんのですが、こちらは vSphere Ver.5と比べて随分とシンプルな印象を受けました。
ドキュメントにも「そんなにスキルのない人でもやれるようにしている」旨が書いてありましたし、環境を操作するインターフェイスが専用のソフトではなく WEBブラウザである点も環境構築を容易にするのに貢献しています。
ただし「動かすだけ」ならこれで OKというだけで、サーバー機内にあるディスクやネットワークインターフェイスの冗長化を考慮する場合は、ハードウェアと冗長化についての知見がこの段階で必要になります。
このあたりがクラウドと違ってハードウェアを自分で扱うオンプレの妙味であり、クラウド利用だけでは得られない知見を得る場でもあります。
このような環境でお勉強をする方は、VMware Workstation Playerの仮想マシン設定で、ハードディスクを 2台、ネットワークアダプタを 2つにしてチャレンジしてみると何かと面白いと思います。
仮想基盤ソフトウェアというのは入れただけでは何にもならないので、次は仮想OSを作ってみようと思います。
「PROXMOX環境構築 3」に続きます。