Proxmox Backup Serverで仮想マシンとかをバックアップ。
「Proxmox Backup Serverインストール 1」で環境設計をして、Proxmox VE(Virtual Environment)のインストール・仮想マシン(Windows Server 2022)の作成をして、
「Proxmox Backup Serverインストール 2」で Proxmox Backup Serverのインストールをしました。
ここでは、Proxmox Backup Serverを使って、Proxmox VEサーバーにある 仮想OS(Windows Server 2022)のバックアップを行います。
Proxmoxのドキュメントは以下です。
(PDF版へのリンクもあります)
Proxmox Backup Serverのドキュメント(名称なし)
上記ドキュメントを読んでいただければ、もうこのページを読む必要はありませんが、「Introduction」を読んでみてこのバックアップシステムの構成について触れておかないと先に進めないと思う箇所がありました。
それはバックアップをされる側とする側、どちらがバックアップ作業のトリガを弾くのかということです。
2つのノード間でバックアップを行う場合のパターンが 2つ。
●パターン1
バックアップされる方が主体となって、バックアップする方へデータを送りつける形。
●パターン2
バックアップする方が主体となって、バックアップされる方へデータを取りに行く形。
Proxmox Backup Serverのドキュメントでは、バックアップの仕組みに C/S(Client/Server)の形を取っていると冒頭に書かれています。
Proxmoxはパターン1の方で、絵にするとこうなります。
Proxmox VEがクライアントプログラムを使って、Proxmox Backup Serverがサーバーが提供している APIを叩いている、こんな事を言いたいんだと思います。
これからバックアップを実際にやってみますが、この前提で Proxmox Backup Serverと Proxmox VEでそれぞれ設定作業が発生します。
1.Proxmox Backup Serverにログイン
Proxmox Backup Serverに WEBブラウザでログインします。
私の環境では [https://192.168.1.111:8007] です。
暗号化のない httpは使えませんのでご注意ください。
サーバー証明書がオレオレなので、Firefoxではこれが出ます。
詳細へ進むを押します。
危険性を承知の上で使用を押します。
この画面が出ますが、まず先に日本語化します。
[Language:]のプルダウンボタンから [日本語] を選択します。
インストール時に設定した [root] ユーザーを使います。
パスワードもインストール時に設定したものを入れます。
ログインを押します。
Proxmox Backup Serverに課金していなければ、これが出ますのでOKを押します。
Proxmoxではオープンソース開発への貢献としてサブスクリプションの購入を期待しています。
国内にも取り扱いしている会社さんがありますよ。
2.Proxmox Backup Serverのデータストア作成
Proxmox Backup Serverでは「データストア」という概念があります。
「データストアというとディスクのこと?」と考えてしまうのですがちょっと違って、バックアップデータを入れるディレクトリとデータの情報のデータベースのセットにつける名前なんですね。
今回の環境では、ローカルハードディスク(200GB)の殆どを「/(ルードディレクトリ)」としてマウントされています。
バックアップデータの管理や運用を分かりやすくするため、以下のようにサブディレクトリ(及びデータベース)をいくつか作るとして、それぞれに分かりやすい名前をつけるということです。
(名前にスペースは使えません)
Proxmox Backup Serverのデータストア名 | 実際のディレクトリ |
---|---|
forWebServerBackup | /backup1 |
forDNSServerBackup | /backup2 |
forDBServerBackup | /backup3 |
イメージはわきましたかね。
バックアップされる方(この実験では Proxmox VE)では、このデータストア名を指定してバックアップデータを送りつけるように設定します。
では実際にデータストアを作ってみます。
左ペインのツリーから [データストア] - [データストア追加] を選択します。
[名前:] にデータストア名、[Backing Path] にディレクトリを入れてください。
[Backing Path:] は存在しないディレクトリでも作ってくれます。
[コメント:] は適当に入れて、追加を押します。
[forWebServerBackup]データストアができました。
同じ手順で [forDNSServerBackup]データストア・[forDBServerBackup]データストアも作りました。
フィンガープリントの表示を押します。
この [Fingerprint]をコピーしてテキストエディタか何かに貼っておいてください。
Proxmox Backup Server側での作業はこれで完了です。
フィンガープリントとデータストア名を次の作業で使います。
3.Proxmox VEでバックアップ実行
Proxmov VEでの作業になります。
私の環境では、[https://192.168.1.109:8006] になります。
こちらへのログインの説明は割愛させていただきます。
強いて言うと、Proxmox Backup Serverと同じです。
ダッシュボードが出ましたら、Proxmox VEの [ストレージ] に Proxmox Backup Serverのデータストアを登録します。
やってみると、ローカルディスクも Proxmox Backup Serverのデータストアも同じく [ストレージ] として扱っていることが分かります。
左ペインのツリーより [データセンター] - [ストレージ] と選択し、追加を押すと出てくるメニューから [Proxmox Backup Server] を選択します。
ID | 他とかぶらない名前 英数字のみ 2文字以上・要英字スタート |
サーバ | Proxmox Backup Serverのマシン名か IPアドレス |
ユーザ名 | Proxmox Backup Serverのユーザー名 後ろに [@pam] を付けないと通らず、認証方式の指定が必要なようです。 |
パスワード | Proxmox Backup Serverのユーザーパスワード |
Datastore | Proxmox Backup Serverで作ったデータストア名 |
Fingerprint | Proxmox Backup Serverでコピっておいたフィンガープリント |
以上を入れて、追加を押します。
ストレージが追加されて、左ペインのツリーにも表示されています。
左ペインのツリーより、バックアップ対象である仮想マシン [100(Win2022)] - [バックアップ] と選択し、今すぐバックアップを押します。
ストレージ | さっき作った [PBSforWebServer] を選択 |
モード | [停止] を選択 仮想マシンが動いている場合はシャットダウンするのでしょう。 他に [スナップショット]・[一時停止] があります。 |
バックアップを押します。
この画面が出て、暫くバックアップが続きます。
終わったら [×] で閉じましょう。
ちなみに出てきたメッセージはこんな感じ。
ヘッダ
Proxmox
Virtual Environment 8.1.4
ノード Proxmox 上の仮想マシン 100 (Win2022)
タグがない
VMIDをフィルタ
ログ
()
{{guestname}}
INFO: starting new backup job: vzdump 100 --notes-template '{{guestname}}' --node Proxmox --remove 0 --notification-mode auto --mode stop --storage PBSforWebServer
INFO: Starting Backup of VM 100 (qemu)
INFO: Backup started at 2024-02-27 22:39:46
INFO: status = stopped
INFO: backup mode: stop
INFO: ionice priority: 7
INFO: VM Name: Win2022
INFO: include disk 'scsi0' 'local-lvm:vm-100-disk-1' 60G
INFO: include disk 'efidisk0' 'local-lvm:vm-100-disk-0' 4M
INFO: creating Proxmox Backup Server archive 'vm/100/2024-02-27T13:39:46Z'
INFO: starting kvm to execute backup task
WARN: iothread is only valid with virtio disk or virtio-scsi-single controller, ignoring
INFO: started backup task 'aa3d1638-4757-400e-8b3b-9f86bb2e2b09'
INFO: efidisk0: dirty-bitmap status: created new
INFO: scsi0: dirty-bitmap status: created new
INFO: 0% (256.0 MiB of 60.0 GiB) in 3s, read: 85.3 MiB/s, write: 53.3 MiB/s
INFO: 1% (628.0 MiB of 60.0 GiB) in 10s, read: 53.1 MiB/s, write: 50.9 MiB/s
INFO: 2% (1.2 GiB of 60.0 GiB) in 22s, read: 53.7 MiB/s, write: 53.7 MiB/s
〜〜〜 途中省略 〜〜〜
INFO: 83% (50.3 GiB of 60.0 GiB) in 3m 54s, read: 4.6 GiB/s, write: 0 B/s
INFO: 99% (59.5 GiB of 60.0 GiB) in 3m 57s, read: 3.1 GiB/s, write: 41.3 MiB/s
INFO: 100% (60.0 GiB of 60.0 GiB) in 4m 2s, read: 93.7 MiB/s, write: 73.7 MiB/s
INFO: backup is sparse: 49.25 GiB (82%) total zero data
INFO: backup was done incrementally, reused 49.25 GiB (82%)
INFO: transferred 60.00 GiB in 245 seconds (250.8 MiB/s)
INFO: stopping kvm after backup task
INFO: adding notes to backup
INFO: Finished Backup of VM 100 (00:04:10)
INFO: Backup finished at 2024-02-27 22:43:56
INFO: Backup job finished successfully
INFO: notified via target `mail-to-root`
TASK WARNINGS: 1
使っている SCSIドライバのせいでワーニングが 1つでていますが、バックアップはできています。
バックアップの履歴も表示されるようになりました。
4.Proxmox Backup Server側での確認
Proxmox Backup Serverの画面に戻ります。
左ペインのツリーから [ダッシュボード] を選択します。
画面を小さくしてしまっているんでスクロールダウンさせていますが、[最長のタスク(30日)]欄に、さっきやったバックアップの行がありました。
ダブルクリックするとログを見ることができます。
以上でバックアップは完了となります。
==========
Proxmox Backup Serverには以下の素晴らしい機能があります。
重複排除 | 同じデータは使いまわしてディスク領域を節約 |
圧縮 | データを圧縮してディスク領域を節約 |
暗号化 | データを暗号化して盗まれても安心 |
重複排除なんて以前ならエンタープライズ製のストレージ製品でやってたことですよ。
いよいよ家で使えるものでもこんなことができるなんて胸熱です。
次回は、バックアップから仮想マシンのリストアをしてみます。
「PROXMOX環境構築 4」に続きます。