PROXMOXで Windows Server 2025の仮想OSを立ち上げます。
「PROXMOX9 環境構築 1」と「PROXMOX9 環境構築 2」でPROXMOXのインストールをしました。
ここではできあがった PROXMOX上に仮想マシンを作り、Windows Server 2025をインストールします。
1.ダッシュボードを使う
折角 WEBベースの管理画面も使えるので、早速 Edgeでログインしてみます。
URLは私の環境では [https:/192.168.1.108:8006] になります。
PROXMOXにデフォルトで入っているサーバー証明書がオレオレ証明書なのでこれが出ますが、強行します。
こんなログイン画面が出ますから、
最初に [Language:] に [日本語] を選択し、
[ユーザ名:] に「root」、[パスワード:] にはインストール中に設定したパスワードを入れ、[レルム:] はそのままログインを押します。
こんなダイアログが出ますが、サブスクリプション契約していないので無視する他ありません。
OKを押します。
ダッシュボード(?)はこんな画面です。
でもって、お金を払ってない場合は最初にやらねばならないことがあります。
デフォルトでお金を払っている人だけが使えるパッケージリポジトリを参照するようになっているので、これを外すと。
[セータセンター] - [(私の環境では)proxmox9] - [アップデート] - [リポジトリ] と選択すると、URLに「enterprise」が含まれる行が 2つあります。
それぞれ選んでやると無効ボタンが出ますのでこれを押します。
結果こうなりました。
PROXMOXとしてのアップデートを受けられないってことになりますかね。
残るはベースになっている Debianのリポジトリですが、こちらからはアップデートを受け取れるので一応やっておきます。
[アップデート] を選択するとしばらくしてアップデート対象のパッケージが一覧されます。
アップグレードを押します。
途中でインストールして良いか聞かれますので「Y」と入れてやりましょう。
2.Windows Server作成の下準備
仮想マシンを作る前に、Windows Server 2025のインストールメディアをどうやって PROXMOXサーバーに見せるかを解決しておかないといけません。
分かり易い方法だと DVDドライブ(VMware Workstation Proの仮想マシンでは ISOファイルを DVDメディアに見せかけることもできます)があります。
しかし仮想OSをインストールする度に DVDドライブでガチャガチャと物理メディアを出し入れするのは面倒ですし、リモート環境ならそもそもできません。
そこで PROXMOXサーバーのローカルディスク内に ISOファイルをアップロードしておける機能がありますのでそれを使います。
それから、インストールする OSが Windowsの場合にだけ行う手順なんですが、Windowsインストールの最中にとあるドライバを入れたいので、そのドライバのインストール用ISOファイルも併せてアップロードしておきたい。
なお、こちらがそのドライバのドキュメントです。
Windows VirtIO Drivers
「VirtIO Drivers」というのは、仮想OSから PROXMOX管理下の物理ハードウェア(ディスク・ネットワーク・メモリ)へ直接アクセスさせるためのドライバです。
上のドキュメントに書いてありましたが、これがない場合はエミュレートされたハードウェアを使うので超遅いとのこと。
ハードウェアへの直接アクセスは Linuxの機能により実現されており、最近の Linux OSには素でこのドライバが入っている一方で Windowsには入ってないのです。
なので Windows OSの場合はインストールの都度このドライバを入れないといけません。
Windows OSの場合には、これは入れるものとして割り切りましょう。
(入れなくても動きはしますがパフォーマンスの問題が出るでしょう)
ドキュメントにあるこちらのリンクをクリックすると最新版のダウンロードが始まります。
download the latest stable
2025年8月16日時点では [virtio-win-0.1.271.iso]ファイルがダウンロードされました。
2つの ISOファイルを PROXMOXのローカルディスクにアップロードします。
左のツリーで [proxmox9]サーバーをクリックすると、サブツリーが展開されますので、[local (proxmox9)]ストレージを選択します。
右隣にストレージの要素を表示するためのリストが出ますから、[ISO イメージ] をクリックします。
さらに右隣に出てくるアップロードを押します。
この画面でファイルを選択を押すとファイラーが起動しますので、対象の ISOファイルを選択します。
(私が持っている Windows Server 2025評価版のインストールメディアファイルは [26100.1742.240906-0331.ge_release_svc_refresh_SERVER_EVAL_x64FRE_ja-jp.iso]ファイルですが、今後他の OSのインストール用ファイルと並ぶことを鑑みると分かりやすい名前に変えておいた方が良かったと思いました。)
ファイルを選んだら、アップロードを押します。
アップロードが完了しました。
終わらせるボタンは無いので、×で閉じました。
同様の手順で、[virtio-win-0.1.271.iso]ファイルもアップロードをしました。
これで準備は完了です。
3.仮想マシン作成
ではいよいよ仮想マシンを作ります。
画面右上のVMを作成を押します。
●[全般]タブ
ノード | PROXMOXサーバーのこと。 自動で入っていたのでそのままです。 PROXMOXサーバーが複数あるクラスタ環境だとログインした以外の PROXMOXサーバーへも仮想マシン作成ができそうです。 |
リソース プール | 仮想マシンを含むリソースを分かり易く纏めておくグループみたいです。 ここでは作成できず、予め作っておかないといけないようでした。 |
VM ID | クラスタ内の仮想マシンに一意に与えられる番号でしょう。 自動で割り振られたのでそのままにしました。 |
名前 | 任意に付けられるようです。 この GUIの中で表示されるものではなかろうかと思います。 |
[詳細設定] をチェックすると [ブート時に起動] が選べるようになっていました。
次へを押します。
●[OS]タブ
インストールメディアを指定します。
上の作業でアップロードした ISOファイルを使うため
[CD/DVD イメージファイル (iso) を使用] を選択します。
[ストレージ] に [local] を選択、[ISOイメージ]のプルダウンメニューから Windows Server 2025の [26100.1742.240906-0331.ge_release_svc_refresh_SERVER_EVAL_x64FRE_ja-jp.iso]ファイルを選択しました。
[種別:] に [Microsoft Windows] を、[バージョン:] に [11/2022/2025] を選択します。
[VirtIO ドライバ用の追加ドライブを追加] のチェックを入れると VirtIOドライバのインストールメディアを選ぶことができます。
こちらには [virtio-win-0.1.271.iso]ファイルを選択します。
これでインストール時に VirtIOのインストールメディアが入った DVDドライブが追加された形で Windowsのインストールを進められます。
次へを押します。
●[システム]タブ
仮想マシンハードウェアの設定です。
グラフィック カード | グラボを選べます。 私の PCにはついていないので [規定] にしましたが、これがどういう素性の ものかは分かりませんでした。 [VirtIO-GPU]というのが GPUパススルーで使うものではないでしょうか。 |
マシン | マザーボードのチップセットの選択です 2種類しかなく、[q35] の方が新しいようなのでそのままに。 |
BIOS | 古いOSの場合は [BIOS] を選ぶのが良いでしょう。 デフォルトで [OVMF (UEFI)] になっていたのでこのまま。 |
EFIディスク追加 | (エミュレートされた)UEFIのデータを格納するディスクを追加するか。 デフォルトのままチェックしています。 |
EFIストレージ | (エミュレートされた)UEFIのデータを格納するディスクをどこにするか。 プルダウンから [local-lvm] を選択しました。 |
Pre-Enroll keys | 「Microsoftセキュアブートが登録されたEFIversイメージを使用します。」 と説明にあります。 デフォルトでチェックされてたのでそのまま。 |
SCSI コントローラ | [VirtIO SCSI] がディスク 1つに 1つの SCSIインターフェイスを持つもので、 [VirtIO SCSI single] よりも速いそうですのでこちらを使います。 |
Qemu エージェント | 上でダウンロードした Windows VirtIO Drivers がこれに相当するようです。 OSインストール時に読み込ませるつもりなので、チェックを入れました。 |
TPM追加 | (エミュレートされた)TPMを使うかどうか。 Windows 11のように Windows Server 2025で TPM2.0が必要とは聞いて ませんが一応チェックを入れときます。 [TPM ストレージ] には [local-lvm を選択しました。 |
次へを押します。
●[ディスク]タブ (の中の [ディスク]タブ)
ストレージの設定です。
殆どデフォルトのまま。
バス/デバイス | ディスクのインターフェイスを選択できて [IDE] や [SATA] などがあります。 サーバーの場合はほぼ [SCSI] かと思います。 下の [SCSIコントローラ:] は自動的に [VirtIO SCSI] になりましたので ダウンロードしたドライバが対応するものになるはずです。 |
キャッシュ | [規定 (キャッシュなし)] のまま変更なし。 |
中止 | 何をするものか分かりません。 チェックは外したまま。 |
ストレージ | コレしか無いので [local-lvm] を選択しています。 |
IO thread | これを使ったほうが速くなるそうなのでチェックを入れています。 |
ディスクサイズ (GiB) | VMwareでは 60GBが推奨になっていたので。 |
次へを押します。
●[CPU]タブ
CPUの制限やらを細かく設定できます。
ソケット | 仮想マザーボードの CPUソケットの数。 ソフトウェアによってはソケット数(=CPU最大搭載数=サーバー機のサイズ)を カウントするのがあるのでこういう設定があるのではないかと。 Oracle Database はそういうソフトです。 なるべく少ない方がライセンスが安くなるので [1] のままにしておきました。 |
コア | こちらが実際の CPU数になります。 うちの PCの CPUは Core i7 7700K (4コア/8スレ)しかないので、[4] を割り当て ています。 |
種別 | CPUの命令セットを細々と選べます。 私の PCが Core i7 7700Kだからなのか [x86-64-v2-AES] がデフォルトで選ばれ ています。 これより後のものに [x86-64-v3][x86-64-v4] がリストにはありました。 但し物理CPUが古いのに新しいCPUを選べるとも思えず、変更せずににデフォ ルトのままにしています。 |
次へを押します。
●[メモリ]タブ
特に説明はいらないでしょう。
次へを押します。
●[ネットワーク]タブ
ネットワークも VirtIOドライバを使いますので、[モデル:] を [VirtIO (準仮想化)] にしました。(デフォルトのまま)
次へを押します。
●[確認]タブ
これまで設定したもののサマリです。
完了を押します。
これで仮想マシンの作成が完了しました。
ダッシュボードに [100 (Win2025-1)] という仮想マシンが現れました。
([名前] がここで出てきました)
[コンソール] を選択すると、停止中であることが分かります。
4.Windows Server 2025インストール
仮想マシンを起動して、Windows Server 2025のインストールを開始しましょう。
「Windows Server 2025 インストール」に書いているのと基本的には同じ手順なんですが VMwareとは違う所が若干ありますので、そこを補足していきます。
[Start Now] をクリックします。
この後 [Press any key to boot from< CD or DVD .....」と出ますので、素早く何かキーを押して下さい。(Windows Server インストールの罠)
実態もこんなものなのでちょっと我慢して下さい。
インストールを進めていくと次の画面にディスクが現れません。
これは Windowsが PROXMOXの仮想マシンのディスクのドライバを持っていないからです。
ここで 1回目の VirtIOドライバの出番です。
Windows Server 2025のインストール画面の [Load Driver] をクリックします。
参照を押します。
VirtIOドライバの ISOファイルは Dドライブになっていました。
インストールする OS毎にフォルダが違っていて、Windows Server 2025では
[D:¥amd64¥2k25]フォルダを選択します。
OKを押します。
ドライバが一つ出てきますので選択し、インストールを押します。
ディスクが出てきました。\(^o^)/
後のインストール手順は「Windows Server 2025 インストール」と同じですので割愛します。
一通り終わってこの画面になり「さてCtrl+Alt+Delだ」と思ったところで「はて?」となりますね。
コンソールの左にある赤丸箇所をクリックするとこういうのが出てきます。
Aを押すと右にもう一列でできますので、ポッチが 3つあるボタンを押しましょう。
幸せになれるはずです。
インストールが済んだと思いきや、実はネットワークインターフェイスが認識されていません。
VirtIOドライバの 2回目の出番です。
[D:¥virtio-win-0.1.271¥virtio-win-gt-x64.msi]ファイルをダブルクリックして実行します。
Nextを押します。
[I accept the terms in the License Agreement.] にチェックし、Nextを押します。
ドライバは全部入れてしまいます。
Nextを押します。
Installを押します。
待ちます。
Finishを押します。
この過程で、メモリ管理用のバルーニングドライバも入ったと思いますので、一度OSをリブートした方が良いでしょう。
再起動後にリモートデスクトップでの接続をしてみましたが、問題なく繋がることが確認できました。
これで Windows Server 2025のインストールは完了です。
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こうして PROXMOXに仮想OSを立ち上げるまでをやってみました。
私は Qemuの知識が無かったのでその点で細かい設定箇所の中味はよく分からないまま。
ですが設定項目が多くあるだけで選択すべき設定のパターンは限られてくると思いますので、慣れてくればサクサクとやれると思います。
VMware Workstation Proの仮想OSとして PROXMOXを構成しているだけに、重たいと感じることはありますね。
メモリが 32GBの PCでこの実験をするのはかなりキツいです。
ストレージももっと欲しいとこでした。
やっぱり PCに直接インストールして試してみたいと思いました。
できれば次回はシステムコンテナを立ち上げてみようと思います。
どんな風になるんでしょうか。
つづく。
===== おまけ =====
Ctrl+Alt+Delが効かず、Windowsへのログオンができない状態になった場合は [Hard Stop] で強制終了させることができます。