PROXMOXクラスター環境上に Windows Server 2022の仮想OSを立ち上げます。
「PROXMOXクラスター 1」で、PROXMOXクラスター環境を設計し、
「PROXMOXクラスター 2」で、FreeNASを使って iSCSIの共有ディスクを作り、
「PROXMOXクラスター 3」で、PROXMOXサーバーを 3台作り、
「PROXMOXクラスター 4」で、クラスターの設定をしました。
ここまででこんな環境ができあがっています。
なおインターネットルーター以外は、全て 1台のデスクトップパソコンと仮想化ソフトで作られています。
お金をかけないでこんな環境が家に作れるんだから、良い時代になりました。
ここでは PROXMOXクラスター上に、Windows Server 2022の仮想OSを 1つ作ります。
コレ自体はそんなに重要なことではないのですが、PROXMOXサーバー 1台でやっていた時と違って、仮想OSが保存されているディスクが外付けの共有ディスクである点が違っているという設計になっています。
複数サーバーで共有しているディスク(ストレージ)上に、仮想OSの本体(OSがインストールされているディスク領域)がある。
このコンセプトが High Availabilityと呼ばれるシステム冗長化構成の肝ですので、PROXMOXの詳細な手順よりこの考え方を覚えておいてもらえればと思います。
PROXMOXで Windows Server 2022の仮想マシンを作るのは「PROXMOX環境構築 3」に書いていますので、その手順に沿って勧めます。
また、Windows Server 2022のインストールについては「Windows Server 2022 インストール」に書いています。
作業は 3つあるサーバーのどれでも良いので、ここでは [proxmox3]サーバーで作業してみます。
[proxmox3]サーバーの WEB管理画面にログインした後からスタートします。
Windows Server 2022をインストールするにあたり、以下の 2ファイルをサーバーのローカルディスクにアップロードしておきたいです。
- Windows Server 2022 のインストールメディアファイル
- Windows VirtIO Drivers のインストールメディアファイル
iSCSIデバイスを LVMにしてサーバーのローカルディスクとしてマウントさせるなら可能そうな気がします。
[proxmox3]サーバーのローカルディスクにアップロードするのですが空きが 4.1GBしかないところ、Win2022のメディアは 4.8GBあります…。
仕方がないので、CD/DVDドライブ(VMware Workstation Playerの仮想 CD/DVDドライブ)を使ってインストールすることにします。
最初からディスクのサイズを 20GBで作っておけば、こんな手間はかからなかったのに!
では仮想マシン作成とインストールを始めますが、準備として [proxmox3]サーバーの CD/DVDドライブに Windows Server 2022のインストールメディアを入れた状態にします。
VMware Workstation Playerの [proxmox3]サーバーのウィンドウの右上にある ◎アイコンを右クリックすると出てくるメニューから、[設定]を選択します。
[ISO イメージファイルを使用する] で、Windows Server 2022のインストールメディアファイルを選択します。
私が持っているのは [SERVER_EVAL_x64FREja-JP.iso] というファイル名です。
OKを押します。
[proxmox3]サーバーの管理画面に戻り、VMを作成を押します。
-- 全般タブ --
[ノード:] に [proxmox3] を選択し、次へを押します。
-- OSタブ --
VMware Workstation Playerの仮想CD/DVDドライブですけど、[proxmox3]サーバーには物理ドライブに見えるので、[CD/DVD 物理ドライブを使用する] を選択します。
[種別:] と [バージョン:] を正しく選択し、次へを押します。
-- システムタブ --
後でインストールしますが、Windows VirtIO Driversを使いますので、
[SCSIコントローラ:] に [VirtIO SCSI] を選びました。
[Qemuエージェント:] のチェックを入れ、
[EFIディスク追加:] と [TPM追加:] のチェックは外します。
次へを押します。
-- ディスクタブ --
[バス/デバイス:] に [SCSI] を選択します。
[ストレージ:] の選択がここでの肝で、FreeNASの iSCSIデバイスを対象にするため、先の手順で作っておいた [freenas-iscsi] を選択します。
[ディスクイメージ:] は対象の LUNを選ぶのですが、1つしか無いのでこれになりました。
次へを押します。
-- CPUタブ --
2コアにしました。
次へを押します。
-- メモリタブ --
4GBにしました。
次へを押します。
-- ネットワークタブ --
[ブリッジ:] が [vmbr0] になっていれば、VMware Workstation Playerの [VMnet0]に繋がります。
[モデル:] はネットワークインターフェイスの型番を選べますが、Windows VirtIO Driversを使いますので、[VirtIO (準仮想化)] を選びます。
次へを押します。
-- 確認タブ --
次へを押します。
これで 100番の仮想マシンができました。
左のツリーで、[データセンター] - [proxmox3] - [100 (VM 100)]を選択の後、
[コンソール] を選択します。
サーバーについている(つもりの)モニタの画面になりますので、Start Nowを押します。
この後は「PROXMOX環境構築 3」に書いてある手順と同じはずなのです。
しかし VMware Workstation Playerの仮想CD/DVDドライブと PROXMOXの組み合わせのせいなのか、Windows VirtIO Driversのインストールメディアから Windows Server 2022のインストールメディアに戻すところで、[proxmox3]サーバーが停止してしまうという問題が出てしまい、どうしてもこれが解決できなかったので、以下の手順で行いました。
Windows VirtIO Driversのインストールメディアだけは、[proxmox3]サーバーのローカルディスクにアップロードしておきます。
[データセンター] - [proxmox3] - [local] とローカルディスクを選択した後、
[ISO イメージ] を選択、アップロードを押します。
ファイルを選択を押すとファイラーが開くので、Windows VirtIO Driversのインストールメディアファイルを選びます。
私が持っているのは [virtio-win-1.0.229.iso] というファイルです。
アップロードを押します。
待ちます。
アップロードが完了したので、×で閉じます。
インストールメディアファイルをアップロードできました。
これで Windows Server 2022のインストールを進めて OKです。
Windows Server 2022のインストール画面がここにくると、Windows VirtIO Driversが無いため、ハードディスクを見つけられません。
このタイミングでインストールメディアを Windows VirtIO Driversのものに入れ替えます。
[データセンター] - [proxmox3] - [100 (VM 100)] と選択し、[ハードウェア] の中で [CD/DVD ドライブ]行をダブルクリックします。
[CD/DVD イメージファイル (iso) を使用する] を選択し、[ストレージ:] に [local]を、[ISOイメージ:] は先程アップロードした Windows VirtIO Driversのインストールメディアファイルを選びます。
OKを押します。
Windows Server 2022のインストールに戻り、[ドライバーの読み込み] をします。
なお、[d:¥amd64¥2k22] が目的のドライバが入っているフォルダになります。
ドライバを読み込んだらインストール先のディスクが表示されますから、再び Windows Server 2022のインストールメディアに戻します。
[データセンター] - [proxmox3] - [100 (VM 100)] と選択し、[ハードウェア] の中で [CD/DVD ドライブ]行をダブルクリックします。
今度は [CD/DVD 物理ドライブを使用する] を選択し、OKを押します。
あとは Windows Server 2022のインストールを進めましょう。
インストールが終わった後に、ネットワークとメモリバルーニングのドライバをインストールする必要がありますが、そのときには上の要領で、再び Windows VirtIO Driversのインストールメディアファイルを使えるようにします。
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途中の CD/DVDドライブ操作で [proxmox3]サーバーが停止してしまい、随分とハマってしまいましたが、どうにかやれました。
PROXMOXを PCに直接インストールしていて、本当の CD/DVDドライブを使う分にはこんな問題は出ないと思います。
PROXMOXのサーバのうち ISOファイルをアップロードするための領域として、ディスクをもっと大きくするべきでした。
これは大失敗です。
試しに [proxmox3]サーバーに 2台目のディスクを追加して、そこにアップロードするように試みてみたのですが、アップロード中に一旦 [/var/chache]ディレクトリにデータをキャッシュするようで、アップロード完了後に指定したディレクトリに移動するようです。
結局 [/var/chache]ディレクトリの空きが足りなければエラーになってしまうのですから、2台目のディスクは解決策にはならず、自分がアップロードすると思う最大サイズを [/var/chache]ディレクトリに与えておくべきなんでしょう。
PROXMOXインストール時のディスクパーティショニングなど、ちょっと考慮が必要ですね。
しかしこれでやっと High Availabilityに進めそうです。
「PROXMOXクラスター 6」につづきます。